25390152

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Last-modified: 2016-04-24 (Sun) 15:05:55 (1215d)

研究成果

経済社会データおよび環境データを用いた次世代航空機ネットワーク構造の最適化

平成 25年度-27年度 基盤研究(C) (25390152)

謝辞:本研究は日本学術振興会から科学研究費補助金基盤研究(C)(25390152)の援助を受けて行われたものです.

This work was supported by JSPS KAKENHI Grant-in-Aid for Scientific Research(C) (25390152).

目的

我々の社会ではエネルギーの注入、物質の注入と排出が絶えず行われている。この消費量と排出量は我々の社会構造に強く依存しているため、社会構造を変化させることにより必要とされるエネルギーと物質の量を減らし、社会の持続可能性に貢献することが可能である。本研究では、輸送ネットワークのひとつである国際線航空機ネットワークを取り上げ、現実の社会経済データと環境データ、都市の位置情報を拘束条件として用いて、エネルギー、現実性、環境リスクを評価指標とした環境負荷の小さな次世代航空ネットワーク構造を、カオス乱数を用いたボトムアップ的な最適化手法で実現する方法を開発する。本研究の成果として、経済社会システムの運航で経験的に用いられてきた局所的方法論の高精度化と、利便性を保証しつつエネルギー効率を向上させた次世代航空機ネットワークの構造に関する知見を得ることを目標とする。

成果

平成25年度

(1)データ共有プラットフォームの構築:京都大学内にデータ共有サーバを設置し、京都大学とNICTに設置されたクライアントPC上から暗号化通信を使用することにより安全にデータを共有する仕組みを構築した。(2)位置情報付き経済社会データベースの構築:人口、経済活動、航空輸送統計、エネルギー消費量に関するデータを総務省統計局、国土交通省、United Nations Statistics Division、geonameから収集、整理しデータ共有プラットフォーム内データベースサーバー上に蓄積した。日本国内においては1km四方3次メッシュデータにより国勢調査人口データ、経済センサスデータ、標高傾斜角データを連結したデータを構築し、標高と人口および労働者分布に関する分析を行った。(3)自然災害リスク空間分布の定量化:地形、地震、津波、火山噴火のカタログデータ(過去1000年分)をアメリカ気象大気庁(NOAA)の公開データから収集、整理し、データ共有プラットフォーム内のデータベースサーバー上に蓄積した。更に、一般化パレート分布を用いた津波高さに関する確率外挿方法を用い津波被害の発生頻度を推定するための分析用ソフトウエアをR言語を用いて実装した。アメリカ気象大気庁のデータについては付加的なデータ検証作業が必要であることが認識された。(4)航空機データの収集と整備:世界の商用空港に関する位置と性能に関するデータを収集・整理し、データ共有プラットフォーム内のデータベースサーバ上に蓄積した。オープンデータに基づく空港データには付加的なデータ検証作業が必要であることが認識された。日本国内におけるタイムテーブルデータをアメリカFlightaware社から購入し、国内の輸送状況に関するデータ可視化と分析作業を行った。(5)国際会議に参加することによる国際情報交換の実施

平成26年度

リスク、経済性、利便性を考慮した国内旅客機ネットワークの最適化アルゴリズムの実装と国土交通省航空輸送統計、総務省国勢調査メッシュデータ、 NOAA津波カタログデータを用いた空港パラメータの抽出を行った。最適化アルゴリズムによるネットワーク構造の多目的最適化についてリスク、経済性、利便性の3種類の目的関数を定義し、現実のデータから収集した空港パラメータを用いて最適解を得るためのプログラムの実装を行った。収集したデータからの空港パラメータの算出と多目的最適化のための有効フロンティアの計算に、平成26年度「京」およびHPCI共用計算資源の利用研究課題「経済社会データおよび環境データを用いた空間評価指標の大規模計算」(課題番号:hp140076)(資源提供機関:統計数理研究所)に基づく17,142ノード時間の計算資源を用いた。更に世界的な航空機タイムテーブルデータ(カバー率93%)を購入し、このデータを用いた世界の旅客機ネットワーク構造の分析を行った。分析により2014年1年間に世界 の空を飛んだ座席総数は約45億座席、1日約1千万座席強が世界の空を飛んでいる計算となることが判明した。更に、京都大学大学院情報学研究科主催EU-Japan Workshop 2015 in Kyoto and Osaka "Exploring complex socio-techno-environmental systems across the boundary"(2015年3月21日∼23日開催、京都大学時計台百周年記念館およびグランフロント大阪)に共催し、欧州(イギリス、イタリア、スイス、ドイツ)の研究者との間で国際旅客便の航空輸送に関する国際情報交換を行った。

本年度研究計画では以下3つの目標を掲げていた。(1)世界的な航空機網の調査(2)経済性、リスク、利便性の空港パラメータに基づく航空機網の最適化アルゴリズムの開発(3)多目的最適化アルゴリズムの効率化である。これら3つの目標は本年度中の研究実施により達成することができた。(1)については2014年1年間のカバー率93%の航空機タイムテーブルデータの購入と分析を年度中に行った。(2)については日本国内線についての経済性、リスク、利便性の空港パラメータの抽出と抽出されたパラメータ値を用いた最適化アルゴリズムの実装をおこなった。(3)については重力モデルを仮定したフライト数をコントロールパラメータとした旅客数の推定アルゴリズムを導入してネットワーク多目的最適化問題を最急勾配法を用いて解くアルゴリズムの開発を行った。一部世界規模での航空ネットワークの分析および世界規模でのリスク、経済性の計量について先行して研究を推進し定量的な結果を得るに至っている。

平成27年度

H27年度は(1)航空会社ごとのネットワークデータの分析、(2)ネットワーク構造の改善・最適化ソフトウエアの開発、および(3)航空会社ごとのスケジュール改善アルゴリズムの開発を研究課題と設定し、研究を行った。(1)については2014年1年間の月次航空輸送ボリュームデータに含まれる世界725の航空会社の輸送ネットワーク構造の特定と構造の定量化に成功した。(2)については航空会社ごとにネットワーク構造を分解し、H26年度までに国内航空輸送統計データを用いて動作確認済みの多目的最適化アルゴリズムを各航空会社のネットワーク構造と輸送ボリューム、空港パラメータに対して適用し、航空会社ごとのネットワーク構造を多目的最適化する並列計算アルゴリズムを開発した。このアルゴリズムを用いることにより、航空会社ごとの部分最適化を通じて、全世界の航空輸送ネットワーク構造の多目的最適化解の現状構造からの可到達解のひとつを得る方法を確立した。これにより、現状の世界の航空輸送ネットワーク構造からの可到達な有効フロンティアを計算するためのアルゴリズム原理を示した。(3)については、(2)で行った航空会社ごとの多目的最適化により輸送経路の計画改善アルゴリズム開発につながった。また、本研究により、緻密に多目的最適解候補を算出するためには、航空会社ごとの空港キャパシティーを知る必要が有ることが判明した。これは航空会社ごとに有する発着枠と経済合理性との関係で決まるため、航空会社ごとの離発着枠およびその費用に関するデータが必要となる。上述の航空会社ごとにネットワーク構造の分析、ならびに、本研究課題のように、局所的に航空会社毎に多目的最適計算を行いながら、全世界の航空ネットワークの多目的最適化計算を行う大規模計算に対しては、京を含むHPCI課題研究(hp150106)の計算機資源(統計数理研究所提供)を利用した。

発表論文・紀要

  • Aki-Hiro Sato, Isao Ito, Hidefumi Sawai, and Kentaro Iwata, “An epidemic simulation with a delayed stochastic SIR model based on international socioeconomic-technological databases”, Big Data (Big Data), 2015 IEEE International Conference on, Oct. 29 2015-Nov. 1 2015, pp. 2732-2741.
  • 澤井秀文, 佐藤彰洋, “経済・社会・環境データを用いた高性能な国際航空輸送ネットワーク構築に向けて”, 統計数理研究所共同研究リポート361 (2016) pp. 23-30
  • 佐藤彰洋, 榎峠弘樹, 澤井秀文, “経済社会データおよび環境データを用いた空間評価指標の大規模計算:地域メッシュ統計の利活用”, 統計数理研究所共同研究リポート361 (2016) pp. 90-101
  • Aki-Hiro Sato, Hidefumi Sawai, “Relationship between socioeconomic flows and social stocks: Case study on Japanese Air Transportation”, Evolutionary and Institutional Economics Review, Vol. 12(2) (2016) pp. 243-263.
  • 佐藤彰洋, 澤井秀文, “日本国内航空輸送ネットワーク上の流量と社会ストックとの関係”, 統計数理研究所共同研究リポート, 経済物理とその周辺(11),Vol.332 (2015) pp. 90-96
  • 佐藤彰洋, 澤井秀文, “航空機による人の移動とシミュレーション”, シミュレーション小特集「ビッグデータと社会シミュレーション」, シミュレーション, 第33巻第4号 (2014) pp. 20-27
  • Hidefumi Sawai, Aki-Hiro Sato, “Multi-objective evolution of airline networks using socioeconomic-environmental data”, Science and Information Conference (SAI) (2014) pp. 123-132
  • Aki-Hiro Sato, Hidefumi Sawai, “Geographical risk assessment from tsunami run-up events based on socioeconomic-environmental data and its application to Japanese air transportation”, Procedia CIRP, Volume 19 (2014) pp. 27-32
  • 佐藤彰洋, 澤井秀文, “日本国内における津波リスクの空間計量と国内空港の物理的エクスポージャー”, 統計数理研究所共同研究リポート, 経済物理とその周辺(10),Vol.311 (2014) pp.21-30 (ISM13)

口頭発表・ポスター発表

  • 2016年3月12日, 佐藤彰洋, 榎峠弘樹, Jang Tae-Seok, 澤井秀文, “経済社会データおよび環境データを用いた空間評価指標の大規模計算”, 情報処理学会第78回全国大会, 慶應義塾大学, 横浜市
  • 2016年2月2日, Aki-Hiro Sato, “Large-scale Computation of Geographical Evaluation Indicators with Socio-economic-Environmental Databases”, Kyoto-Bordeaux Mini-symposium, Kyoto, Japan
  • 2016年1月23日, 佐藤彰洋, 澤井秀文, 伊藤功朗, 岩田健太郎, “ウイルス伝搬の数理モデル化とデータ駆動型シミュレーション”, H27年度統計数理研究所共同利用研究集会第2回人流・物流ネットワークとその周辺研究会, 統計数理研究所, 東京都立川市
  • 2015年12月6日, 佐藤彰洋, 澤井秀文, 榎峠弘樹, Jang Tae-Seok, “経済社会データおよび環境データを用いた空間評価指標の大規模計算:地域メッシュ統計の利活用”, 第6回横幹連合コンファレンス, 名古屋工業大学, 名古屋市
  • 2015年12月4日, “経済社会データおよび環境データを用いた空間評価指標の大規模計算”, 経済物理学2015, 京都大学基礎物理学研究所, 京都市
  • 2015年12月3日, “経済社会データおよび環境データを用いた空間評価指標の大規模計算”, 第5回金融ネットワーク研究会, 京都大学, 京都市
  • 2015年12月3日, 佐藤彰洋, “ウイルス伝搬の数理モデル化とデータ駆動型シミュレーション”, 第5回金融ネットワーク研究会, 京都大学, 京都市
  • 2015年11月1日, Aki-Hiro Sato, Hidefumi Sawai, Isao Ito, Kentaro Iwata, “An Epidemic Simulation with a Delayed Stochastic SIR Model Based on International Socioeconomic-Technological Databases”, IEEE Big Data 2015, Santa Clara, CA, USA
  • 2015年10月26日, 佐藤彰洋, “経済社会データおよび経済データを用いた空間評価指標の大規模計算”(hp140076), 第2回「京」を中核とするHPCIシステム利用研究課題 成果報告会(平成27年10月26日開催), 日本科学未来館, 東京都
  • 2015年10月9日, Aki-Hiro Sato, “Large-scale computation of geographical evaluation indicators with socio-economic-environmental databases”, ISM HPCCON 2015, Institute of Statistical Mathematics, Tokyo, Japan
  • 2015年8月31日, 佐藤彰洋, 澤井秀文, “国土交通省航空輸送統計と総務省国勢調査・経済センサス調査メッシュ統計を用いた重力モデルによるフィッティング”, 平成27年度第1回統計数理研究所共同利用研究集会「人流物流ネットワークとその周辺」研究会, 統計数理研究所, 東京都立川市
  • 2015年8月4日, 佐藤彰洋, “社会経済システムに対するデータ中心科学:空間リスク、経済、エネルギーをめぐって”, 情報処理学会ネットワーク生態学研究グループ, 第12回ネットワーク生態学シンポジウム, 山喜旅館(招待講演), 静岡県伊東市
  • 2015年7月31日, 佐藤彰洋, “ウイルス伝搬の数理モデル化とデータ駆動型シミュレーション”, 第58回人工知能学会 分子生物情報研究会(SIG-MBI), Grand Front Osaka, 大阪市
  • 2015年3月27日, 佐藤彰洋, 澤井秀文, “経済社会データおよび環境データを用いた航空輸送ネットワークの最適化”, 統計数理研究所共同研究集会「経済物理学とその周辺」, 統計数理研究所, 東京
  • 2015年3月17日, 佐藤彰洋, 澤井秀文, 伊藤功朗, 岩田健太郎, “国際航空ネットワーク上での遅れ確率SIRモデルによる感染症伝播シミュレーション”, 情報処理学会第77回年次大会, 京都大学, 京都
  • 2014年11月30日, 佐藤彰洋, 澤井秀文, “経済社会環境データを用いたリスク計量と最適化:航空機ネットワークの経路問題への応用”, 第5回横幹連合総合シンポジウム, 東京大学, 東京 (PDF)
  • 2014年11月4日, Aki-Hiro Sato, Hidefumi Sawai, “Geographical risk assessment from tsunami run-up events based on socioeconomic-environmental data”, Social Modeling and Simulations + Econophysics Colloquium 2014, Kobe, Japan
  • 2014年10月27日-30日, Hidefumi Sawai, Aki-Hiro Sato, “Multi-Objective Optimization for Resilient Airline Networks Using Scoioeconomic-Environmental Data”, IEEE BigData? Conference, Washington DC, USA
  • 2014年9月12日, 佐藤彰洋, 澤井秀文, “日本国内航空輸送ネットワーク上の流量と社会ストックとの関係”, 統計数理研究所共同研究集会「経済物理学とその周辺」研究会, キヤノングローバル戦略研究所, 東京
  • 2014年8月27日-29日, H. Sawai, A.-H, Sato, “Multi-Objective Evolution of Airline Networks Using Socioeconomic-Environmental Data”, SAI2014, Int. Conf. on Science and Information Conference, London, United Kingdom
  • 2014年8月22日, 澤井秀文, 佐藤彰洋, “経済社会データおよび環境データを用いた航空機ネットワークの多目的最適化 – 地理的リスクと経済性の指標に基づく日本国内航空機ネットワークの評価”, ソフトウエア科学会ネットワークが創発する知能研究会, 電気通信大学, 東京
  • 2014年7月7日, Aki-Hiro Sato, Hidefumi Sawai,”Geographical risk assessment from tsunami run-up events based on socioeconomic-environmental data and its application to Japanese air transportation”, Robust Manufacturing Conference (RoMaC2014), Bremen, Germany
  • 2014年5月21日, 佐藤 彰洋, 澤井 秀文, “日本国内線航空機ネットワークのリスクと経済性の計量”, 第58回システム制御情報学会研究発表講演会, 京都テルサ, 京都
  • 2014年3月8日, 佐藤 彰洋, 澤井 秀文, “日本国内航空機ネットワークのリスクと経済性の計量”, 日本統計学会, 同志社大学, 京都
  • 2014年3月8日, 佐藤 彰洋, 澤井 秀文, 日本国内航空機ネットワークのリスクと経済性の計量, 第8回日本統計学会春季大会, 同志社大学, 京都
  • 2013年12月26日, 佐藤 彰洋, 経済社会データおよび環境データに基づく空間リスクの計量, 第8回京都大学ICTイノベーション, 京都大学, 京都
  • 2013年12月21日, 佐藤 彰洋, 澤井 秀文, “経済社会データおよび環境データを用いた空間リスク計量”, 第5回横幹連合コンファレンス, 香川大学, 香川
  • 2013年12月4日, 澤井 秀文, “Efficient, Robust and Resilient Architecture for Communication and Infrastructure Networks”, 2013 International Conference on Connected Vehicles & Expo, Las Vegas, USA
  • 2013年9月26日, 澤井 秀文, “蟻の生態にヒントを得た複雑ネットーワークの創発とビッグデータを活用した世界の航空網の頑健性の検討”, 一般社団法人テレコムサービス協会関東支部ネットビジネス21研究会, 東京
  • 2013年9月26日, 佐藤 彰洋, “国際旅客航空機における距離と価格との関係に関する実証分析”, 日本物理学会2013年秋季大会, 徳島大学, 徳島
  • 2013年9月2日, 佐藤 彰洋, 澤井 秀文, “経済社会データおよび環境データを用いた定量的リスク評価の試み”, 統数研共同研究集会「経済物理学とその周辺」研究会, キヤノングローバル戦略研究所, 東京

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